『美しい刑務所』 寮美千子著
先日訪れた奈良で見つけた地元の写真集は、なんと被写体が刑務所なのです。明治時代に出来た刑務所の一つ、奈良少年刑務所というのがそれなんですが、刑務所と教えてもらわずに見ていると、まるで昔の由緒ある立派な建物のよう。
実に美しいのです。
そして、その美しさが迷わせるのか、キャプチャや関係者の寄稿文がどれもこれも刑務所につけるにはふさわしくないキャッチコピーになってしまっています。
あたたかな○○○
なつかしい○○○
たいせつな○○○
私がいた○○○
夢みる○○○
みんなの○○○
私たちの○○○
この○○○の部分に刑務所の文字が入ります。
あたたかな刑務所
なつかしい刑務所
たいせつな刑務所
私がいた刑務所
夢みる刑務所
みんなの刑務所
私たちの刑務所
なんだかとてもシュールではないでしょうか。言葉のミスマッチが生み出すユーモラス。
写真集であり、極めて貴重な資料写真集なんですが、それとともにとっても不可思議な本です。