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『シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血』
ボニー・マクバード著
久しぶりに読んだ、シャーロック・ホームズもののパスティーシュ作品です。
いっとき、ホームズものといえばなんでも読んでいたのですが、シャーロック・ホームズの孫娘だの、シャーロック・ホームズの子孫だののシリーズがイマイチハマれなかったのもあって、遠ざかっていました。
途中に、これは映像作品ですが現代イギリスを舞台に移したベネディクト・カンパーバッチの「SHEROCK」という作品にはまりましたが、それを別とすればホームズものからは離れていましたが、ふと読みたくなって最近発売されたこれを読んでみました。
フランスの女優からの密書を受け取ったホームズは、その手紙に込められたトリックに依頼者の女優に興味をもち、彼女と接触することにした。
彼女は、自分の息子を身分違いの恋ということでとあるイギリスの大貴族に取り上げられていたが、その子供に危機が迫っているのだとホームズに訴えます。
偶然にもその大貴族こそ、ホームズが兄のマイクロフトから依頼されていた大事件の関係者であり、ホームズは事件に関わり始めるのですが、、、といった作品です。
原作の雰囲気にわりに忠実に作られたという本作は、確かに原作の雰囲気をもっていて、ホームズのパスティーシュとしてよくできています。
また、ホームズが少し心惹かれる女性が出てくるところなどもファン心理をくすぐるのですが、いかんせん後半になればなるほど、ハリウッドの脚本家書きという著者の色が出すぎるのか、ホームズらしからぬ雰囲気が強く出てきます。
ホームズものには大規模なアクションシーン戦闘シーンの連続には向いてないし、そんなにしょっちゅう変装を見破られたり捕まったり殴り倒されたりしてはいけない気がいたします。
あくまで個人的な見解ですし、なんていってもボクシングとバリツの達人というホームズのことですからアクションがあってもいいんですが、何でもかんでもそこと結びつけるのはアメリカ流すぎるかなぁと。
そして、案外にホームズがミスを犯すシーンが多くて(頻度的には、杉浦右京さんが「私としたことが、とんだ間違いを」というのの倍くらい)、それも少しマイナス点です。
でも、そうは言いつつも、わりと原作の雰囲気を守ったパスティーシュであることは間違い無いので、数少ない本家ホームズもの以外を読みたくなったら、こんなのもありですね。
シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血 (ハーパーBOOKS)
- 作者: ボニー・マクバード
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発売日: 2016/10/20
- メディア: Kindle版
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追記、シャーロックといえば、和製シャーロックというのも馬鹿馬鹿しいドラマが最近やってますね。
織田裕二がやってる「IQ246 〜華麗なる事件簿〜」というものです。
あそこまでやるなら、ワトスン役もそれらしいキャストにすれば良いのに、ホームズものと富豪刑事と天才ものを混ぜるというのはどうかなぁと苦笑しつつ見ています。