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『グイン・サーガ140 ヤーンの虜』宵野ゆめ著 もろもろ感想 

グイン・サーガプロジェクトでの正伝続編の10冊目にあたり、今巻は宵野ゆめさん担当巻となる。
栗本薫の絶筆である130巻で止まっていた物語が再び動き出してから、はや10巻。


スタート当時は、賛否両論が激しくあったようだが、ここまで続いたことでひとまずは社会的にも認知されたであろうし、大の継続反対派の人たちもこれはこれでありだし、自分の気持ちは別としてもこれだけ続きを読みたいという人々がいたんだということで(不承不承かもしれないけれど)納得していただけたのではないかと思われる。
当然、最初から追いかけているファンとして、反対派の人たちの気持ちもわかるのだけれど、これはこれで一つのあり方だし、グイン・サーガという他に類を見ない一つの大きな物語を現在進行系で色々な世代に楽しんでもらうということに意義があるのだと思っていただければと思う。

 

さて、この140巻まで読みついでいる人には改めて登場人物やグインサーガのあらすじなどは書くまでもないと思うので、ずいぶんとざっくりと書きますが、この巻はグインが再びシルヴィアを追いかけるお話といってよいでしょう。
グインの不在中に、精神的に病んで乱痴気騒ぎの自傷的な行為の果てにグインとは別の男の子を産んだケイロニア王妃シルヴィア。彼女に対して、宮廷や国民、周りのものがなんと言って罵ろうが、それでも彼女を庇い続けていたグイン。ただ、庇いつつも、グインの心の中には、なぜ自分がそこまで嫌われるのか、自分を厭わしく思われるのか、という思いが心の棘となって刺さっていました。精神的に病んでしまっていたのだ、自分が彼女の気持ちを理解できていなかったのだ、自分が悪かったのだ、自分の豹頭がいけないのだ、と自分を納得させつつも、どうしてそこまで厭われたのかという思いがグインの心の奥底にはありました。我々読者は、そうなった決定的な契機を知っていますが、彼は記憶を失いそれを覚えておらず、余計にそれが彼の心を縛っていました。
しかし、この巻でその問題にも一定の解決がなされ、彼は再びすべてのわだかまりを捨ててシルヴィアを追いかけます。闇の勢力に取り込まれ拉致された彼女が、再び運命に翻弄されないように影武者をケイロニアに残し、彼女を救うために走ります。
このあたり、豹の頭に隠された人間くさいグイン、シルヴィア絡みのときにだけ強くでてくる人間くさいグインが見れて個人的にはちょっと嬉しかったりします。

とはいえ、皆様ご存知のようにグインには既に彼女の他に愛妾ができており、双子の子供までいます。なので、シルヴィアを見つけて助け出したとしても、昔のように一緒に暮らして二人でいつまでも仲睦まじく暮らしましたとさ、というようなオチはつけようもありません。見つけた後は、それはそれで修羅場にならざるを得ないし、自業自得の部分もあるとはいえシルヴィアからしたら、いっそ見つけないでいてくれるほうが幸せという部分もなきにしもあらず。、、、本当、シルヴィアにとってはどっちが幸せなのかわかりませんが、彼女の負っている心の深い傷を癒すためには、人生を再出発するためには、一度グインとじっくりと語りあい彼が本当は自分をきちんと愛していたということを知ることが大事なことなのでしょうね。

ともあれ、そういった感じでこの巻ではグインが再びシルヴィアを追いかける巻となっております。
ケイロニア内部では大きな陰謀が渦巻いており、イシュトヴァーンがリンダを拉致したまま逃走し、パロではキタイの竜王の猛威が吹き荒れておりますが、それはまた次のお話。

 

にしても、、、闇の司祭のグラチウスはすっかり陽気なキャラクターになったなぁ。。。

 

ヤーンの虜 (グイン・サーガ140巻)

ヤーンの虜 (グイン・サーガ140巻)