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『福家警部補の報告』 大倉崇裕著

小説 読書

一時、テレビでは女性刑事ものが流行った。

篠原涼子の『アンフェア』を筆頭に様々なものが現れた。中には、そういうブームの昔からずっとシリーズ放映されている沢口靖子の『科捜研の女』のような変化球もあったが、概して、気風のいい男勝りのタフネスと美貌を兼ね備えた主人公が活躍する作品が多かった。
その中にあって、本書『福家警部補』シリーズは、やや趣きの違う作品となる。

まず、主人公の福家警部補の風貌が、身長152cmと極めて小柄かつ化粧っ気のない女学生か公務員のように見えて(公務員に対する偏見という気もするが)、現場の警察官や事件関係者の多くにはなかなか警察官と認めてもらえない風貌をしている。
その上で、ドジである。財布を忘れる、携帯電話・スマホは電源を入れ忘れる、置き忘れる。しかも警察手帳も多くの場合、彼女もバッグの中で行方不明になっている。
趣味は無駄に広く、サブカルチャー領域の多くに一家言持っているオタク気質な所も見られる。そんな感じで、極めて刑事らしくない。しかし、実は捜査・推理に関して は途轍もなく切れ者で、事件の真相を見抜く目はずば抜けている。

そんな彼女を主人公にして倒叙ミステリー短編集シリーズを展開しているのがこのシリーズとなっており、本作で4冊目となっており、いずれもハズレがない。
倒叙ものということで、読者には最初の最初に犯人と事件の状況は明示されている。それを、福家警部が名推理と捜査によって犯人を追い詰めていくのが読みどころだ。形としては、刑事コロンボや、古畑任三郎のようなイメージといえばわかりよいだろうか。
彼女の風貌と雰囲気で軽妙に仕上がっているが、ミステリーとしては読み応えがあり、楽しめる一冊となっている。
ミステリーとしても、かなりオススメの一冊だ。

追記。本作では、新しい好敵手も誕生している。そのあたり、次巻への楽しみも増えてファンサービスも満点である。

 

 

福家警部補の報告 (創元推理文庫)

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