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映画「アメリカンビューティー」を見た感想

映画

アメリカンビューティーというと、僕の中で真っ先に思い浮かぶのは赤いショートカクテルだ。

ワシントンのシンボルの赤い薔薇の品種、それがアメリカンビューティーというのだそうだが、それをイメージして作られたカクテルで、ブランデーとポートワインが決め手になるカクテルだ。
ショートスタイルで、ブランデーをメインにしたベースの上に、最後にするりとポートワインをフロートする。そうすると、すーっと鮮やかな赤が花開くような見ている時間からが素敵なカクテルなのだが、最後の作り方が難しく、本当にきちんと作れるバーテンダーは100人に1人いるかいないかという話で、、、と、この話をし始めると長くなるので割愛させていただく。

 

今日は映画のほうの「アメリカンビューティー」の話。この映画、今日「戦場のメリークリスマス」を見たあと、たまたまテレビでやっていたので、連続して見たのだけれどこれが思いのほか面白かった。
アメリカのとある都市に住むとある中流階級の家庭。仕事にやる気がもてない冴えない中年男レスター・バーナム。板尾創路にも似た風貌の彼の家には奥さんと高校生の娘が一人いる。
しかし、この家庭が見事にまでに壊れている、不動産業を営んでいる奥さんは見栄っ張りで、夫婦生活は氷点下まで冷え切っている。娘のジェーンは、思春期にはありがちなことだが、父親の弱さダメさを生理的に毛嫌いしている。
おまけに、父親であるレスターは実はリストラの直前。壊れない方がおかしいくらいの状況だ。

 

そんなある日、レスターは、高校でチアリーディングをしているジェーンの応援に行った際に、ジェーンの友達のアンジェラに出会い一目惚れしてしまう。そして、それを敏感にジェーンに悟られてしまう。一方、そのジェーンに対しては、隣に引っ越してきたフィッツ親子の息子のリッキーが一目惚れをしてしまう。まだ初対面の挨拶をする前から、盗撮のようにジェーンの姿をビデオカメラで追いかけるリッキー。
エキセントリックな登場人物が次々と出てくる中で、レスターの家庭は急速に崩壊へと向かっていく。


といったような粗筋なのだが、この中に、現代アメリカの闇というか問題がこれでもかというくらい盛り込まれている。
家庭崩壊。ドラッグ。ストーカー。不倫。経済崩壊。銃社会ロリコン。同性愛に対する在り方。尤も、銃社会という問題以外はすでに日本でも身近な社会問題になってきているが、アメリカ型社会のトラブルが短い映画の中に盛り込まれている。

もちろん、ブラックコメディと書いたようにそれを正面からシリアスに描いたりはしない。コメディにくるんで、笑いの中にそれは描かれる。中年男のかっこ悪い妄想として描かれたり、バカバカしい形での不倫の発覚、勘違いの末の男同士のキスとして描かれる。
だから、話我はそれを苦笑しながら見ることになるが、案外とその闇は深く身近なところにあることに気がつかされる。表面上には綺麗に見えて、その裏側ではあらゆることがすでに実は腐っていたり壊れている。


そして、そうして見てみると、この「アメリカンビューティー」というタイトルは非常に皮肉なタイトルだと言わざるを得ない。アメリカの美しさ、美しき古き良き時代はすでに壊れて、ない。
そこに存在しない。
偶然ながら、見てよかった映画だった。

 

追記 
出だしの部分では、アンジェラのどこに可愛さがあるのか全くわからなかった。むしろ、これがアメリカの美人? ティーンの魅力? と首を傾げていたのだが、後半になるにつれ彼女の良さというか可愛らしい部分が描かれてどんどん魅力的になっていくのも個人的にはなかなか良かった。