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『少女不十分』西尾維新・はっとりみつる 感想

西尾維新の小説家デビュー10周年作品である「少女不十分」。ファンの間でも賛否両論が噴出したというこの作品、最大の問題点は話がなかなか始まらないという点にあった。

なにせ、西尾維新にしては珍しいノンシリーズでしかも比較的薄い作品なのに、全然本題に入らないのだ。印象的には、100p近く本筋に入らず、主人公が言葉遊びのような意図的にぼかした話をしており、そのあたりが不幸にして西尾作品初読みでこれにあたってしまった読者などには大不評であったように記憶している。

尤も、筋運びだけでなく、ストーリーの方も、主要登場人物が男子大学生と小学校4年生の少女のみの誘拐拉致監禁ものということで、一部には問題視されていたようではある。

ただ、ここについては、実は誘拐拉致監禁される側が男子学生というオチがつくし、それがこの話の面白さになっている。

 

さて、そんなお話をはっとりみつるがコミック化した本作も全3巻で無事完結した。

内容的にも、作画担当がはっとりみつるということで安定していることもあるし、はっとりみつる西尾維新のファンを自認していることから、コミック化にありがちな「これじゃない感」もほぼなく、よく出来ていると思う。

特に英断だと思ったのは、小説への批判で多かったと冒頭で書いた、長い長い本題に入らない部分をほぼほぼカットしたことであろう。他の作品も掲載されている漫画雑誌では、あの冒頭をそのままやるのは無理があったからやむなく切ったのだとしても、それでもよく決断したと思う。

それによってスッキリと作品がまとまったように感じる。

 

にしても、西尾維新という作家は「物語シリーズ」といい「刀語」といい「掟上今日子」といい、実写・アニメにこだわらず映像化・コミック化には恵まれた作家だなぁと思う。

漫画はともかく、新垣結衣・ガッキー主演のドラマなんかもアニメのシャフト演出をよく理解したかのような演出で非常に恵まれた作家だと思う。

森博嗣などもこの半分でも恵まれていればと、、、思わずにいられない。

 

少女不十分 (講談社ノベルス)

少女不十分 (講談社ノベルス)