『波よ聞いてくれ』3巻 沙村広明 会話の面白さも話の流れもツボ

著者曰く「無軌道オカルトカレーラジオ漫画」というカテゴリのこの漫画。
純愛恋愛漫画には背を向けて、著者の思う面白いを徹底的に追求していっている感じが凄くいいですね。個人的には見事なまでにツボにはまっていて、好きでたまりません。
カレー屋のアルバイト店員の鼓田ミナレが、ひょんなことから北海道ローカルの深夜ラジオで番組パーソナリティーをつとめることになるドタバタ喜劇、というのが大枠の説明ですが、そんな言葉で収まる話ではありません。元恋人のダメンズに、職場のホモ上司に、マンションの階下に住む変態チックな青年に、いけいけどんどんの無軌道な性格のラジオ局ディレクターといった面白い登場人物に加え、彼らが喋る話、会話のあれこれがいちいち面白い。会話での笑いのセンスと、ツッコミのセンスが抜群にいいんでしょうねぇ。
シリアス路線(といいつつボケも結構ありましたが)の『無限の住人』のイメージが先行しがちですが、こういうギャグをたくさん入れた『ハルシオン・ランチ』みたいな作品も素晴らしい沙村広明らしい作品です。